天使の囀り(角川ホラー文庫)

天使の囀り(角川ホラー文庫)

ジャングルの奥地に、調査で出向いた恋人。その彼の帰国を待ちわびていた主人公だが、帰国後の彼の態度や性格があまりに異なってしまったことに混乱をする。
実はその彼は、「恐怖を快楽と錯覚する」作用を持つ寄生虫に脳を操られ、高層階で感じた恐怖を「快楽」と判断しそのまま死んでしまうのだった。
彼の死の理由がわからなかった主人公は、その理由を突き止めるため動く。

 

幽霊系ともゾンビ系とも異なる、リアルにありそうなホラーでした。
これを若い女性に進めるのは…と思われるかもしれませんが、恋人の態度のおかしさに不信を持つなどの行動は、主人公が同世代だからこそ、ホラー感も一層深まるのではないでしょうか。
しかもこの本の恐怖は、得体のしれない怖さではなく、正体が知れたら「得体が知れているのに恐ろしい」というところです。
今ではネットなどで有名になった、カタツムリゾンビと呼ばれる寄生虫が元ネタらしいのですが、それが人間に適応したら…という発想そのものがすごいです。
ホラー小説というと、なんだか訳のわからないものが襲ってきて、結末もあやふやですっきりしないという展開が多いのですが、この小説は結末までもすっきりしており、ホラー小説を普段読まない層にもおすすめです。